財務分析の重要性

信用調査の知識−財務分析の重要性−法人(企業)の信用度を判断するためには財務分析知識を知ることはとても大切です。

財務分析の重要性について

決算書の基礎知識

決算書とは

決算書とは、正確には財務諸表のことをいいます。一定の期間の経営成績状況や財務状況等を明確にするための書類で、「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「キャッシュ・フロー計算書」などが財務諸表に該当します。上場企業など有価証券報告書の提出が義務付けられている企業以外の中小企業にでは、「キャッシュ・フロー計算書」はありませんが、企業状態を確認・判断することができる書類であるため、重要な財務諸表といえます。

賃借対照表

賃借対照表は、一般的に勘定式と呼ばれる書き方により、資産勘定・負債勘定と分けられ、流動性の高いものから記載されています。「流動性が高い」とは、資産の場合現金化しやすいもの、負債の場合早期決済の必要性があるものとなります。

流動資産 流動資産は、現金及び預金の他、1年以内に換金可能な売掛金・棚卸資産・1年以内に費用化される前払費用などが含まれます。
固定資産 固定資産は、回収や費用化が1年を超える資産によって構成され更にその形態により有形・無形・投資その他資産に分けることができます。
繰延資産 繰延資産は、株式交付費・社債発行費・創立費・開業費・開発費の5つが含まれます。
流動負債 流動負債は、買掛金・未払金・短期借入金など比較的早期に支払わなければならないものが含まれます。
固定負債 固定負債は、流動負債の反対で支払いが1年以上先のものを計上します。長期借入金などが含まれます。
株主資本 株主資本は、企業が株主から集めた資金の額と企業自ら獲得した利益の額をいいます。株主からの調達→資本金・企業自ら獲得→利益剰余金
評価換算差額 評価換算差額とは、資産の時価評価を行った場合などに薄価との差額が生じたときに出る項目でプラスの時は資産の時価が薄価よりも高いと判断できます。

損益計算書

損益計算書は、1事業年度の経営成績状況を記載したもので、収益や費用をその種類によって区分して記載されています。

売上高 売上高とはその会社の本業における収入をいいます。事業拡大はこの本業の収入である売上高の増加として現れるため売上高の増加は企業の成長性や継続性を判断する重要な指標となります。
売上原価・総利益 売上原価には、仕入れ原価や製造原価などを計上し、売上高と売上原価の差額が売上総利益です。粗利とも言われます。
営業利益・一般管理費 売上総利益から販売費及び一般管理費を引いたものを営業利益といいます。
営業外収益・費用・経常利益 営業外収益とは、本業以外での収益や費用ではないが、毎期に経常的に発生するものをいいます。
特別利益・損失 特別利益・損失は、臨時的に発生する利益・損益をいいます。
当期純利益 特別損益まで考慮したものを税引前当期純利益といい、当期の税金を控除したものを当期純利益として表示します。

正当な決算書とは

公認会計士による会計監査を受け、監査証明がある場合、その財務諸表は正しいと判断して良いといえます。しかし、監査証明がない場合、その正確性は定かではありません。資金繰りが厳しくなったり、利益の出過ぎた時に一部を来期に回したりなど、さまざまな理由から財務諸表を改ざんしてしまうと、粉飾となってしまうのです。財務分析は、その企業の安全性や信頼性の他、粉飾の可能性も判断できます。

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信用分析の指標

自己資本比率 自己資本比率とは、会社の総資産に占める自己資本の比率で、自己資本とは、株主資本と評価換算差額の合計をいいます。自己資本比率は全産業の平均値が30%程度と言われていますので、そこをひとつの基準として判断することができます。
流動比率 流動比率は、1年以内に支払いをしなければならない債務である流動債務を流動資産でどの程度、賄えているかを示す数値です。流動比率とは、短期的な支払い能力を判断することできる数値だといえます。
当座比率 当座資産は、現金・預金・受取手形・売掛金・一時所有の有価証券などをいい、現金か短期換金可能なものです。当座比率とは、より短期的な支払い能力を示す数値といえます。
手元流動性 手元流動性とは、すぐに換金できる資産(現金・預金・有価証券・銀行借入資金)の合計を月商で割ることで数値計算が可能です。
売上債権対
買入債務比率
売上債権を買入債務で割った数値を売上債権対買入債務比率といいます。この数値は買入債務の支払い能力を判断することができます。売上債権は、買入債務を支払う担保となるため、売上債権対買入れ債務比率は、買入れ債務の担保力を表しているということになります。
固定比率 固定比率は、資金調達面から見た自己資本と固定資産との関係で、財務状況の安定性を判断することができます。今すぐ返済が必要な資金や普段の運転資金の状況ではなく、どのような性質の資金を背景に資産が構成されているのかを見ることができる数値といえます。
長期固定適合率 長期適合率とは、固定資産を自己資本と固定負債の合計で割った数値で、固定比率同様、資金調達面から見た固定資産との関係で財務安定状況を確認することが可能です。
売上債権の回転期間 売上債権の回転期間は、売上債権の回収状況から企業の資金繰りを判断するためのもので、売上債権を月平均売上高で割り、売上債権が月平均売上高の何ヶ月分に相当するのかによって判断ができます。

棚卸資産の回転期間 棚卸資産の回転期間は、在庫の効率性を判断するための数値で、棚卸資産残高を月売上げ平均で割り、棚卸資産を月の売上高の何ヶ月分保有しているのかで判断ができます。
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収益性の分析

売上総利益率 売上総利益率とは、売上高から売上原価を控除した売上総利益を売上高で割った比率です。この数値には企業の活動に係る経費は考慮されていません。商品自体が獲得する利益率となります。
売上高販管費率 売上高販管費率は、販売費及び、一般管理費と通常関節経費がどの程度対売上で占めるか確認する数値です。
売上高営業利益率 売上高営業利益率は、企業の販売する商品の力だけではなく、営業力なども考慮した営業収益力をいいます。
売上高経常利益率 売上高経常利益率は、企業の経常的な全体の収益力を表す数値をいい、売上高営業利益率が本業の収益力とすれば、この数値は本業で得た資金の運用益や設備投資や運転資金として借入ている資金の支払利息も加味して、その会社の総合的な儲け、収益力と判断できるでしょう。
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資金分析

キャッシュフォローを予測する

損益計算書における利益とキャッシュフローは、一致しないものです。そのため、利益が出ている会社でも資金繰りにい行き詰まり、倒産してしまう「黒字倒産」も少なくありません。信用状況を確認する際は、利益が出ているかどうかも大切ですが、このキャッシュフォローの状態がどうであるかが重要なポイントとtなります。しかし、他社のキャッシュフロー状況を知ることはなかなかできないため、賃借対照表や損益計算書などからキャッシュフローを予測することが必要となります。

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同業他社との比較

信用性の良し悪しには比較が有効

信用性を確認するために決算書内容からさまざまな数値を出すことは可能ですが、はたしてその数値が良いのか悪いのか判断するためには、時系列式に判断する、他社と比較し判断することが有効だといえます。

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